花の一枚、空の一筋、約束までの一秒/霜天
 
冷たさで冷たさを感じ取る
寒い方へ寄り添うようにして、いつも隣に座る


よく晴れた、長い日に

 羽織る、春を待つ衣装を
 席を詰めてくれる人に
 するり、寄り添うようにする君へ
 視界の隅で燻る
 揺れる花の一枚

まだ遠くても、擦り合わせるような温かさや
そこで回り続ける直線を歩く、あの人の体温や
触れる間近の指先を、笑顔のままですり抜ければ
それを怒って、くれる誰かは


いつもよりも、振り返ることが多くなる

 思い出しては、迎える人の
 柔らかい街の眠っている風
 生まれた場所を、思い浮かべる
 空が一筋に、いつか生まれ変わるとして
 僕
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