飲酒/あやさめ
閉店を迎えるまで彼らは飲んだくれて
どこに進むということもなく浮遊感だけをつかめなくて
ただそこに留まっている
いくつもの視線の交差の不均衡な状態を
やり過ごした店の人は滑るように消えていくとして
酒だけは消えないまま
眠るまで飲み続けられたドアの向こうから彼女らは呼ばれないで
メモだけ残されている
彼の叫びではないが
彼の字ではないが
それは握られていて 押し潰されているのだ
「
酒は 百薬の 長である
百薬の 長である 酒は
長である 酒は 百薬の
酒は 百薬の 長である
酒は
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