非・定型/
岡村明子
型を維持するために汲々とするくらいなら
ひとりで生きてやると外に出てはみたものの
世間の風は冷たくて
お母さん
あなたがいたら私の話を聞いてくれただろうか
お母さん
家族のことを考えるときどうしてもあなたを思い浮かべてしまうのは
私がいつか家族の中で「お母さん」になるかもしれないから
家族が一番幸せだったころ
うちにやってきた犬も今はいない
四人家族、庭付き一戸建て、犬
そんな幸せの定型が
いつかあったということが
余計に悲しい
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