密室密度/黒川排除 (oldsoup)
 
指伸びるあくまで体の一部として

家賃の上に成り立つ少年おもちゃにし

見知らぬマント誰だ父ではない

石油に濡れた手近所をかたっぱしからはたく

煙や土間の無色夢に見なおも横切り

夜の鍼灸院静かソケットに裾ねじ込み

上着乗せ終バスは湿原をゆく

つづら開け時々郵便物を受け取る

となりのテーブルの男搾乳して喘がせ

暗い密度の暖流押すインド洋らへんで

月とともに欠けていく桶水もまた

ためらいながら穏やかな午後くる窓割って

大陸から蹴っ飛ばされて島となりわが五体

タワー応答せよ黒い藪一斉に蠢き

老いてなお蟻の巣を杖でくずし

波打ち際に壁刺せば狂う生態系

光る紙を雪に見立てて折り畳む

船底部浮かぶ海原を少年ら裸足で遊び

夕のトーンへ囚人として立ちのぼる

ホースと乾パン以外に手だてのない密室

過疎にして重苦の憂いをたがえつつ

晴れ渡り骨を残して雲は消え
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