まどろみの童話/イオ
月明かりの下で
アゲハチョウは静かにため息をつきました
そして眠りに落ちました
色とりどりの花の間を飛び回る夢を見ています
月明かりの下で
風はアゲハチョウのため息を聞きました
そして風自身もため息をつきました
それはさざなみのように辺りに広がりました
月明かりの下で
私は泣いていましたが
頬を風になでられた気がしました
それは風のため息でしょうか
月の光は優しく
蝶の夢は甘く
風のため息は柔らかい
気付けば私の涙は乾いていて
眠る時間が来たことを理解したのでした
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