たぶん君宛の手紙/和泉 誠
 
雪はまだ止まないが
長かった冬の休みは
もうそろそろ終わる
約束の時だ
僕は自由になる

雪に閉ざされた家の中で
話し相手になってくれた
君の名前を僕は知らない
けれども
僕は満足なんだ

君は永遠に美しい者として
物語の新たな主人公として
僕の人生に大事に刻まれた
だから多分
もう君とは会わない

君は色々な事を僕に教えてくれた
君を知って僕は色々な事を考えた
もうこれ以上の思い出はいらない
傷つくのが
怖くてしかたないから

素敵な思い出として胸にしまっておこう
美しい人生のエピソードにしてしまおう
この手紙はちゃんと君の下に届くのかな
ありがとう
そしてさようなら


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