ぼくには/七尾きよし
ぼくには人間であるという誇りがあって
なんにでもかんにでも
名前をつけて
上か下か
いいか悪いか決めてしまう。
ぼくより正しい者などいるわけがないかのごとくふるまい
現実とぶつかりくしゃって、
自然とぶつかり
ぐちゃっとつぶれてしまう。
そんで天に向かい宇宙に向かって雄叫びをあげ
なんでなんだあ
と愚痴ってしょぼんとしてうつ向いたら
そこには赤く染まったカエデの葉が
ひたっと地面にへばりついて
静かに
時の流れに身をまかせているのが見えて
ぼくは急にせつなくなって
また自分がみじめに感じて
涙をぼろぼろこぼして泣いた。
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