明日は何がぼくを誘う/炭本 樹宏
 
 ぼくの周りには怪獣がたくさんいる
 おそらくぼくも怪獣なんだろう
 波長の合う者同士が足並みをそろえる

 寝ぼけ眼(まなこ)でモニターをにらめっこ
 節操を知らない近所のおばさんは
 お金を借りてカラオケにいく
 
 愛想のない猫がまたいたずらして
 休むことを許さない
 
 ぼくには愛は空想の中の出来事
 日々押し寄せる無力の悲しさ
 強がりしててもボロがでる

 風船のように漂うだけ
 人の助けがなければいきていけない
 情けなさ

 もう涙を流さなくなったのは
 いつごろからだろう

 モノクロにしか映らない
 街の風景は
 道行く人に会うたびに
 心がささくれ立つ

 希望も絶望も
 天秤のようにゆれるだけ
 
 明日は何がぼくを誘(いざな)う


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