たとえようのない/七尾きよし
たとえようのない。。。。
はっと寒気がして
ふっと後ろを振り向いたらなにもいなくて
ぼんやりと宙を見つめ
思い出だけがひかりかがやいているかのように
みじめな顔をして
鼻水をたらしながらいつまでも治らない風邪をひきずり
どこにもぼくが望むものなど
転がってやしないとウソブク。
露出した肌を侵食していく冷気の中で
タバコを吸いながら
どこか知らない遠い世界をあこがれ
肉体など存在しないのだと言いつつ
思うがままに 快楽におぼれたいだけ
おぼれるままに生きる。。。
ことなど 実は望んでいやしない。
たとえようのない。。。
閉塞感なん
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