ぼくの童話/狸亭
 

くもり空のおもたい朝
欠伸をしている川獺
頭にかぶっている笠
ぷんと鼻にかおる野糞

きみの眼のまぶしい若さ
よれよれになっている裾
てのひらにあふれる乳房
白い毛の犬がのそのそ

はいだしてきてわらうのさ
とおくにきこえるハライソ
やってくる老いた村長
いつもの方からいそいそ

小狸のあいらしい腹
雨にぬれてるひもすがら


戻る   Point(5)