ゆきうさぎ/
落合朱美
つめたい指をしている
と あなたは言って
ふたまわりほど大きな掌で
包みこんでくれた
ゆきうさぎの見る夢は
ほのかに甘い想い出ばかりで
わたしは人のぬくもりに
慣れていないから
可笑しいくらいにぎこちなくなる
朱いお盆にのせられた
ゆきうさぎは
陽のあたる場所に置かれて
だらしなく融けはじめ
わたしは足もとから
ほろほろと崩れてしまいたい
どうかこのまま このままと
言葉にできないままに
心で叫ぶ
淋しいうさぎは生きてはゆけない
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