らくだと全ての夢の果て/蒸発王
 
天の川輝く
零下10度の
砂漠の夜

いつものキャラバンで
友達のラクダと一緒に寝る
名前は知らない
聞き取れなかったから
それで良いと思った

夜には一枚の毛布と
ラクダが
私を後ろ足と胴の間に抱き込んで
くっついて寝る

まどろみつつ
私はラクダに話しかける
このラクダはなかなか詩人なのだ



何か話してくれよ


(では水の話をしよう)

水?めったに飲まないじゃないか

(そう水はこの地には無い)
(この地にある水は全て天に召されたのだ)

雲のことかい?

(いいや) 

(今も見えるだろう天にかかるあの大きな光の川
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