このはれた さむいひに/岡部淳太郎
 
のなかのかすかなおとに
みみをすます
きみはせいいっぱいに
てつがくをしている



ぼくのふとったおなかから
なにかがうまれるよりもはやく
きみはなにものかを
うみだすだろう
それはきょうのようにはれた
けれどもとてもさむいひだろう

たとえそのとききみを
このうみやそらよりも
あおすぎるかんじょうが
おそったとしても

きみはあいされてあるということの
そのばつのなかで
みずからにちゅうじつであれ



こんなはれた
けれどもとてもさむいひに
きみのいたずらは
かたちのきまっていないものをつよく
ゆりうごかしている

せかいはあおく
こいやあいもあおい
きみはあおいこどもで
ぼくもおなじような
あおいこどもでしかなくて
そして
じんせいという
このおかしなものまで
このそらやうみとおなじように
みごとにまっさおなんだ

きみはきつくあいされなければならない
ぼくも
ほんとうは
そうされるべきだったんだ



(二〇〇六年一月)
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