このはれた さむいひに/岡部淳太郎
のなかのかすかなおとに
みみをすます
きみはせいいっぱいに
てつがくをしている
*
ぼくのふとったおなかから
なにかがうまれるよりもはやく
きみはなにものかを
うみだすだろう
それはきょうのようにはれた
けれどもとてもさむいひだろう
たとえそのとききみを
このうみやそらよりも
あおすぎるかんじょうが
おそったとしても
きみはあいされてあるということの
そのばつのなかで
みずからにちゅうじつであれ
*
こんなはれた
けれどもとてもさむいひに
きみのいたずらは
かたちのきまっていないものをつよく
ゆりうごかしている
せかいはあおく
こいやあいもあおい
きみはあおいこどもで
ぼくもおなじような
あおいこどもでしかなくて
そして
じんせいという
このおかしなものまで
このそらやうみとおなじように
みごとにまっさおなんだ
きみはきつくあいされなければならない
ぼくも
ほんとうは
そうされるべきだったんだ
(二〇〇六年一月)
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