林檎ジャム/暗闇れもん
 
寂しいのでしょう
暗い部屋の中であなたの帰りを待って
将来もこうなっていくのかと
部屋の隅にいて身を潜めていた影が広がり
つま先まで冷たく私を包むのです
布団に転がり残り香をかいで
甘酸っぱいリンゴジャムが出来上がる匂いで
それもかき消され
さみしさが深く私を包むのです
外の世界に羽を広げあなたに恋する少女の方が
幾らか失う苦しみがすくなかったでしょうに
もう私
甘い匂いにゆるやかに捕らわれ
逃げ出すことも知らないのです
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