噴水の日/霜天
欲しがるように風が吹くのを
あなたはとても嫌がりました
ありふれた人に、姿勢は鋼鉄で空は近くて
順番待ちの列には顔色ひとつ変えずに
参加することに迷わない
そんな
落ちていかない夜の一枚の
人でした
間違える気などないというのに
私は、
わたしから零れていけない一言を
受け取る器のような世界、小さなそれを
見つけたような気がするので
もう、間違える、私はわたしを
繰り返してしまうばかりなので
帰ろう、そんな場所へ向かう
つかもうとした手のひらはとても冷たいもので
それが、季節のせいなのか元からなのか
境界はどうに
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