冬とてのひら/
木立 悟
手のひらの姿に打ち寄せる
五つの異なる夢からさめて
最後に見た夢の緑が
左目からのみあふれつづけ
いつまでもいつまでも流れをやめない
五つの異なる夢の色の
すべてを忘れてしまうときまで
楽しげな声と哀しげなうた
岬の光を越えては出会い
雪にあいた穴のなかで
いのりのかたちに燃えあがり
風の粒にまたたきながら
手のひらに手のひらに降りそそぐ
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