冬とてのひら/木立 悟
 



空と空をつなぎながら
連なる交差に溶け残り
雪は火傷を伝えてゆく
遊びを終えた子らの声
原をわたる風のひと粒
熱と痛みが照らす脇道


埋もれかけた細い木のそば
真新しい傘を雪にさし
遠く大木の向こうを見つめる
動かない景 ひとつの音
ひらいたままの傘
細い木を守る


小さな灯りにかざされる手
夜の空へのばされる手
指と指の間に目を閉じ
分かれては戻る光を聴くとき
さわさわと地を囲む闇
淡い金の笑みの点滅


抄いつづけ こぼれつづける
青のなかの行方知れず
駆けるほどにほぐされて
枯れ穂の波に見えては隠れ
遠い遠い源へ
手の
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