文集 うららかに/
岸
君が花を手折る樣に優しい安易さで、彼を愛でると好いのです。
何であれ私は人を遺体にしたことが無いものだから、
到底その節の冗談も言えませんが君、
そういった情事もまた春色の桜の木の根が吸い上げてんでしょう。
だから桜は薄紅色なんじゃありませんかね。
ロマンチクとは言われますけど、やっぱり私はそう思うんですよ。
そして暖色とはいかに冷たいものか君、解ります?
まあ私は、君に好かれたい一心でこう、蘊蓄を垂れて居るんですがね。
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