拝啓 高村光太郎様へ/砂木
中学校の図書室で
詩の書き方という 本をひろげた
文芸部に入りたてで
それなりに 真面目だった
そこで 出会ったのが
高村光太郎様作 火星がでている である
ひと読み惚れという言葉はないだろうが
ひとめで うわあっと
なにかわけのわからないパワーに
いきなり 座ったまま 熱狂の渦になった
なんて男らしい熱い詩だろう
漢字も難しくて 読めないし 意味もわからない
なのに なのに
自分のものにしたくて堪らない
うたいたくてたまらない
すぐさま ノートに写し
家に帰って 暗誦
数日は 熱にうなされたようで
捧げる詩も 勿論 書いた そして
文芸
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