ある美しい愛の固定観念について/「智恵子抄」をとにかく読む(1)/渡邉建志
のです。が、嫉妬とは認めません。なんなのだこの気持ち、などと考えているのです。
浪の砕けるあの悲しい自棄のこころ
はかない 淋しい 焼けつく様な
――それでも恋とはちがひます
サンタマリア
ちがひます ちがひます
何がどうとはもとより知らねど
いやなんです
あなたのいつてしまうのが――
もはやきかんぼうのわがままです。
智恵子に恋してるから悲しいんじゃないんだといいます。そして「サンタマリア」という一言がただ置かれるのですが、これは悲しみをマリアに訴えているのかもしれないし、あるいは僕はこっちだと思うのですが、智恵子をサンタマリアと同一視しているのかもしれませ
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