青いカナリヤ/
スイレンユキコ
鳥がいる
鏡をそっと覗いたならば
夜の表情をした女がいて
わたしのものであってわたしのものでない
この身体が不思議な線を描く
もう一度抱かれたかった、
窓を開ければ外灯が見えて
手をつないで歩いた坂道や
冷たくて固いシートの感触や
流れていた退屈な音楽を思い出す
この純潔を踏みにじるために
たくさんのものを失う
夜のカナリヤは歌うために
犠牲を強いられる
本当の心は此処にはないと
翼をひろげて青い羽根を散らす
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