牡丹雪/日和
牡丹雪の日は君を迎えに行く
傘は持ってゆかない
いつだって
君は雪を掴もうと傘を飛び出してゆくから
町の街灯の下で
やさしい君が待っている
ひっそりと
ゆるやかな呼吸をしながら私を待っている
そうやっていつも
やさしく空気を食(は)みながら
ちいさな身体で伸びをして
全身に
やさしく酸素を送り出している
酸素を
二酸化炭素にかえていく
全身で
そんな単純なことを 君は
精一杯 せいいっぱいに
何か 大切なものを包み込んで放すように
何か とても大切なことのように
やってのける
そうして
酸素をめぐらせていく
全身のあらゆる器官を駆
[次のページ]
戻る 編 削 Point(9)