ハーケンクロイツ/馬野ミキ
知らなかったのでおれ一人で歌った。
それから俺はビールと熱燗を注文した
詩の教室だ、
そのようにやらなくては。
冷たいものと熱いものを交互に高速で繰り返すのだ。
60cm目前で膝を組む無防備な制服の女子高生には魅力がある
彼女は相変わらず携帯でおしゃべりをしている
ゴムの骸骨と桃色のハーケンクロイツのストラップが揺れている
揺れるナチス
俺は生を一気飲みしてから彼女の携帯を奪い取り
『キスしよう』
と、いった
ら
彼女は二秒後に泣いてしまった
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