まっしろ/兎乃 しずる
 
冬は真っ白いんだよ

いつもと同じ笑顔で君が言ったんだ

息も雪も白いよ
空にしても、景色にしても白く見えて不思議の国に居るみたいじゃない?
その国は人の心も真っ白にしてしまうんだよ

僕は笑った
何もかも白いなんてありえないじゃないかと
人の心に白しか色のつかないことはないんだと

そうだねと君は言ったよ
僕の手を握って

だからこうして人と人は触れ合ってお互いに色をつけて
心をあったかくしてるんだよ
だから冬があるのはきっと人のぬくもりを確かめ合うためにあるんだよ

冬は真っ白
だからこそ、人と人はお互いの心を温めるために寄り添いあうんだ


僕と君のふしぎな会話
しゃべってるあいだに、冬の寒さはどこかに消えていた



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