ぼくが包茎だったころ/ZUZU
ぼくが包茎だったころ
アフリカはとおく
象の足は八本あった
あのひとのほほは白く
うつむくまつげは長かった
どんな人にも天使のように微笑むので
誰もが自分はあのひとに愛されていると勘違いした
ぼくも例外ではなかった
十二本足のしまうまにまたがり
ぼくとあのひとは
地平線へむけて駈けた
あのひとのももいろの乳首をやさしくつまみ
いろいろな制服を買ってきては着せ替え
うなじをくちびるでなぞり
あたたかい六月の朝のなめくじのように抱き合う
毛穴にわけいり
霧ふく汗やもれる声にとけあう
包茎でさえなくなれば
ぼくはあのひとに愛を告げることが出来る
こんなゆ
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