ジーナの一月/嘉野千尋
真夜中に、
嵐の音が怖くて目を閉じたジーナ
だけど嵐の音じゃなかったみたい
目を閉じている間に、
季節が変わってしまって
途方に暮れてる小さなジーナ
ふれる前に、雪は溶けてしまったから
冬のことは何も知らないジーナ
本を開いて、一瞬の旅に出たけれど
風がページをめくっていくから、ジーナ
まだ微笑んだまま
ジーナ、毛糸の手袋をしたまま
公園に忘れ物をしたまま
忘れられた約束を、
それでも大切だと言うジーナ
お揃いの手袋だったから
雪だるまに話しかけて
ずっと座り込んでる一月のジーナ
ジーナ、ジーナ
楽しいことが大好きな
だけど悲しい時でも笑ってしまう
ジーナ、僕の小さなジーナ
もう君は泣いてもいいんだ、ジーナ
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