【MIX&REMIX参加作品】 一過性の月をみている/簑田伶子
追いかけた音符につまづく舌のことレモネードをくむ夜のきらきら
圏外のサービスエリア出る頃に公衆電話の黄緑おもって
蜂蜜をかけて闇夜に置き去りにした君の名がかなしんでいる
珈琲の苦さも世界のおしまいも「子どもだった」で片付く体裁
隅のほうまで 日夜 赤虫 神様はただの死人だもの
引き出しのなかでちいさな人が読む、声 はねる 洗濯機になりたい
カッターをカチカチさせて保健室 今 また はためく カーテンは腕
抗菌の ボールペン握り 立ち尽くす 書けなかった ラフ・ミー ハグ・ミー
爪を噛み 吐き出してみた そのかたち なぜ泣くのか一過性の月
死してなほ国歌と定めし売女を うしなわれていく はなむけとして
鱗粉を 撒く蝶々を 姉が追い やわらかな四肢 きっと証で
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