詩的な生活/白雨
 
 忘れてはいけない
 詩と空想が生活を救い 
 貧困が雪解けを待つたのしみに変わること

 おまえは知るだろう、
 やがて現実がひとつの虚構として
 おまえの空想のまえに立ちはだかるときに

 詩はささやかな宝物であったと
 それは宝石や勲章ではなかったと、
 一握りの砂のようなものであったと

 夏の海辺を思い出して
 おまえの頬にはひとすじの涙が残る
 あたらしい生活は、
  そうして甚だ詩的なものになる
   ・・・・。
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