ところてん/
なな子
かがけつまづき
そのせいで突然 誰かが祈った世界の平和を
祈ったりするのだ
そのとうめいな祈りの束を
懸命に消化しているのは
汚れた紙袋を持った あの老人なのかもしれない
彼はところてんを食べるのに精一杯で
自分のことに構っていられないのだ
わたしはせめて彼のために
ちいさく明けましておめでとうと呟いてみよう
わたしがこんなことを突然書き出すのも
誰かの吐き出したところてんを踏んづけたからなのだ
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