名作は天然である/岡部淳太郎
け取った人も、もしかしたらいたかもしれない。努力なしに名作が生まれることはままあるかもしれないが、だからといって、努力を否定しているわけではない。ひとりの詩人が書く詩がすべて名作だなどということはありえないのだから、全体のクオリティを上げるためにも、努力は必要だろう。そうした努力の積み重ねが、名作を生み出しやすい状況をつくってくれるかもしれない。
ここで述べたことは、僕程度の頭の弱い人間が思いついた戯言に過ぎないので、別に気にする必要はない。名作は天然であり、そうした天然の詩を生み出しやすい状況を整えるためにも、それなりの努力が必要ではないかというだけである。何だか同じことを繰り返しているだけの、見苦しい文章になってきているみたいで、お恥ずかしい限りである。いまの僕は、次に天然の詩が降りて来る瞬間をひたすら待ちかまえているところだ。そんな瞬間はめったに訪れるものではないのは、重々承知の上ではあるのだが。
(二〇〇五年十二月)
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