錆/AKiHiCo
満月の夜に光り出す悲しみ
思い出は儚く結界を張り巡らせる
貴方は私を連れ戻そうと
そんな希望はもうないのに
器に満たした液体が
溢れ出して床を濡らす
まだ動けないでいる
何かが私を縛り付ける
感情は鉛のように重くて
なぜ貴方を見てしまうのだろう
もう怯えなくていいのに
そろそろ眠らせて
この瞼を閉じれば蘇る
あの日殺したはずの感情
過去の幻影に
踊らされて悲鳴をあげる
食い込む茨の冠が
貴方の姫は終焉したでしょう
貴方もそれに頷いたはずなのに
いつまで私をここに置くつもりで
夢から醒めない貴方の脳
もう戯れは過去の閃き
ゆっくり蒼の影を纏い出す
煌くの一つの粒になったはず
もう触れないで
このドレスも引き裂いて
永遠を誓った指輪も虚空へ
深すぎる愛情は私を縛るだけ
この箱庭からいい加減開放して
硝子を割って心に突き刺した切っ先
この祈りを貴方に捧げ
貴方も私も再生する為の
戻る 編 削 Point(1)