loop/霜天
 

なんでもよかった

  *

八月、空は割れて
東京タワーの赤の光、や青の、緑の
昨日の野良猫は、結局今日は帰らなかった
望んだ通りに眠りに付いたのなら
もう、手は届かないんだね
生まれた場所を思い描くと
なぜか真っ白な写真ばかりが浮かぶ

  *

順序通りに絵を見て行く
初めから一つずつ、明かりを消していく
見終わった世界は、もう片付けられて、見えない
十一月の夕暮れる足跡の深さ
スイッチを消すように、君の
隣の席を詰めながら
もう一度生まれてきたかった

  *


 散った花が線になって
 この背中を埋めている
 回っていく部屋がもう一度動けば
 その時もそこからは、そこからは、そこからは、
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