ちからのかけら/木立 悟
 
い灯りの花の房たち
横切るかけらの影たちを見つめる


たしかに書かれていた文字が
いつか消えてゆく朝に
ことだまたちのひとりひとりは
雪に眠るものを指さす


つつましやかに
空をほどく手
欠けた場所から
にじみ湧く空


雪道の上を飛ぶように歩み
あおぎ見る目をまぶしくほそめ
ちからのかけらにめざめた息は
重なるようで重ならぬ手で
何も書かれていないひとつの
あざやかな言伝(ことづて)を受け取ってゆく









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