ちからのかけら/木立 悟
 



ちからはちからへ垂直に落ち
からだはからだへ傾いてゆく
気まぐれな風の格子
雪道に揺れる草の影
重なるようで
重ならぬもの
煌々と冷たく
空を持ち去る


何も書かれていない枯葉が
雪のなかから立ち上がり
かすかに残る空を映して
ふたたび静かに沈んでゆく


原の瞳 遠吠えの色
曇に至る狼煙のうた
まだらにまだらをひらくことだま
すぎゆくひかりをうたうことだま


雪のかたちにまわりつづけ
わずかなちからのかけらをわたり
息は闇の色に降りおり
土に触れては眠りに落ちる


音をどこかに置いたまま
夜へ夜へと歩む火の群れ
遠い灯
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