生誕/石川和広
夕暮れ
曇っている
電車
走る
わいざつな銀河の中を
見えない草をかきわけて
走る
その中で
すれちがう
スレチガッテイク
わたし
わたしたち
生まれる手前から
死んだ後で
横だおしになっていく
コトバ
おねえさん
しゃべりつづける
ひとの形をしてるから
わたしは
うまれてこなかったらよかった
と
思う
絶望ではなく
暖かいものに
つつまれて
ぜいたく
そんなこといっていいのか!
うまれてこなかったらよかった
生きていて
穴を掘って
病院にむかって
傷にむかって
ぎしぎしと
むかいあえなくて
生きてきた
コトバ
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