きつね道/チアーヌ
きつねの師匠が言いました
この道はきつね道
とても厳しい道ですよ
きつね道を行くものは
みんないつか死ぬのです
脳が退化し
便や尿を垂れ流し
胃に直接流動食を流し込まれ
喉に穴を開けられ痰を取られ
自分では何もわからず
何も言えず
何もできないまま
辺りが暗くなり
最後に聞こえるのは
機械が自分を測る
ピッピッピッピッ
という音
夜勤の看護婦さんにとって
急変の重なる嫌な夜
きつね道を行くものの周囲は
手薄になる
そうして
からからに喉が渇いて
水が飲みたいということも
他の苦しみで忘れた頃
きつね道を行くものは
黄色い死体になって
死ぬのです
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