リアル/はなびーる
最初は
イヴに出会ったんだっけ
正確にはさ
はじめて二人きりで逢ったんだ
足長おじさんみたいなマスターのいる
ちっちゃなバーでさ
なぜか河島英五が流れていたっけ
あたしの手に重なった
白くて太い骨ばった指
この手に愛されるって想像したら
妙にリアル、で
その昔
何度かデートした男は
川っぺりで座っているとき
「もっとこっち来ないの」って呟いたけど
あたしの手に重なった
中指に三本毛のはえた指
この手に愛されるって想像しても
まるでリアルじゃなくて
黄色い水玉のシャツなんか着るから
いっぺんに冷めてしまって
それっきりさよなら
無責任かなあ
リアルか、リアルじゃないか
それだけで決めるのって
無責任?
いつから
イヴに君がいなくても
平気になったんだろう
今は生活そのものが
リアル、で
狂おしい欲望とか
淋しい感情も忘れてしまった
これってリアル?
君にとってあたしって
リアル?
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