スラム街のアリア/なるせ
 
軽く平らげたその優しさを
味わうわけでもなく
チューインガムに含ませたため息を
君は静かに割った

輝く空の下で
永遠を誓い合う
そっと口づけをして
朝がくるのを待ってる



そんな
夢に見た景色



君が
隣にいろよ、と
笑いながら手を差し伸べた
僕は
すこし戸惑いながら
その手は人のものじゃないよ、と言った


あの景色はもしかしたら
夢なんかじゃなくて
いつかスラム街の路上で見た
絵画の一つだったかもしれない


君はもしかしたら
この地に生まれ落ちることなく
堕胎させられた
小さな胎児だったかもしれない











ぼくは





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