いのち の ようなもの/馬場 こういち
 
いま たしかに
身体(からだ)の中にあるコレを
どうにか言葉で写してみよう
すると ほら

 もうおそい

色を変え かたちを変え
大きさを変えて 
コレは
言葉の網をすり抜けて
もう ちがう景色を見ているんだ

 文字だ

こうして残っていくのは
言葉の脱け殻 躍動しない記号


コレは コレらは
あまりにも自由に
身体の中を廻っているんだ


赤ん坊の産声
文字を知らない彼が
身体中のちからを使って
声をあげる 表現する

 いのち

それがいちばん コレに似ているんだ
 
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