深雪の旅路/たりぽん(大理 奔)
胸が張り裂けそうで
呼吸が荒くなっても
突き破って
生まれてこないもの
恋という熱
握ったその手を
解き放ち
旅立ったもの
あれは影だったか
角度のみならず
長さまで変えて
回るコーヒーカップ
肩が寒くて背中を丸め
世界を呪っても
突き破って
生まれてこない翼
寂しさという熱
抱きしめた腕を
解き放ち
去っていったもの
それは君だったか
表情のみならず
景色も変えて
回る観覧車
そっと、覗き込む夢の続き
深雪に道が途切れても
足取りを旅と呼ぶなら
旅人
幾重にも
重ねていくから
迷い道さえも
誰かの旅路
いつかあなたと歩もう
深雪に分け入る一本の
未知へと続くラッセルを
凍えても、
震えても、
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