夜を旅する/なな子
どうだいうつくしいだろう
これだけ美しいものを見るからには
お代を貰うよと
シリウスが耳を痛くしようとするけれど
ヘッドフォンで隠す
ギターの音に足音が重なり
寒いけれども ちょっと遠出をしたくもなるね
ポケットを探れば小銭
目の前には自販機
ひとくちエネルギー源 コーヒーを買った
家への小道をすっとばし
オリオンの膝元を通り過ぎる
コーヒーを啜れば湯気がたち
蒸気船のようでもあるね ぽうぽう
このまますたすた歩いていったら
君の家なんかちょろいんじゃない?
けれどもほら 駐車場を黒猫が横切って
夢みてんじゃないわよと 尻尾で笑った
こんな夜更け
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