thanks/霜天
 

祈るように手を合わせては
眠れない空をいつまでも見ている


やさしいひとがいて
やさしいひとがいる
きりきりと鉛筆を削り続ける
やさしいわたし、は


手をとるように電車を降りる
夜の夜
重たい足を支える背中で
誰かを支えているような
背中合わせで聞こえる歌は
いつか聞いたことがあるような
やさしい誰かが響いている



今も昔も
重なるようにして音を出していた
今日も眠れば明日になっている
そんなことを思いながら、昨日も眠った
はらはらと花の散る道が
視界の端でちらついている
そんな世界の揺れていく音を
いつも背中から聞いていた
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