冬の円盤/岡部淳太郎
 
な速度で回らなければならない
冬の温度はまだ
星と星の間に横たわる寒さに比べればましなのだが
おまえはまだそのことを知らないでいる
あるいは 考えるすべを持たないだけなのか
おまえは硬い舗装路の上の樹木
おまえは硬いかさぶたの下の傷
(いずれも認められていない淋しさ)
円盤はゆっくりと
その淋しさにふさわしい速度で回転しながら
おまえの淋しさに ひとつの歌を吹きかける
おまえは答えるすべもなく
ただ地上からほんの少し離れた思いでつぶやく
星の向こうの人びとも
同じ淋しさを感じることがあるのだろうか。



(二〇〇五年十二月)
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