おくりもの/なな子
 
たちはガタガタ震えながら 
みなでおんなじことを思い出していました

人一倍からだの大きいいきものが いつも洞穴の入り口に座っていたこと
その隣がほんのりとあたたかかったこと
しっかりもののいきものが、食べ物をきちんと取っておいてくれたこと
おしゃべりないきものが、たくさん楽しい話をしてくれたこと
そして、そのおかげで暗い冬があっという間に過ぎたこと

いきものは、入り口に座ってみました
けれども 体が小さいので すきま風がいっぱい流れ込んできます
食べ物を数えてみようとしました けれども数がよくわからないのです
お話をしてみようとしました けれども何も思い浮かびません

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