Cafe Le Poete ♯3 〜クリスマス前夜〜/服部 剛
 
「はい、どうぞ」

白いコック帽子に黒髭(くろひげ)のマスターが
キャンパスに描かれた油絵のような
色彩豊かなメインディッシュを
木目のテーブルの上に置いた

歪んだ陶器の皿の上にのせられた「真鯛(まだい)のポアレ」

白い肉の周りに
サフランの黄色に染まったみじん切りの玉葱は散らされて
パセリとバジルで作られた緑のピューレソースは薄く広がり
炒めたトマトのスライスは添えられて

両手に持ったナイフとフォークで
真鯛の白い肉を切り口へと運ぶ

「お口にあいます?」

とマスターに声をかけられ
僕はもぐもぐとうなずく

入って間もないボーナスを
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