Snow storm/落合朱美
ヘッドライトを浴びて踊る雪は
しだいに密度を増して
行く手の視界が遮られる
海岸添いのゆるやかなカーブが
永遠に終わらないという錯覚
私たちは
どこへ向かっているのだろう
辿ってきた道を振り返っても
そこには何も見出だせず
積み重ねた時間のぶんだけ
沈黙とため息が増えた
退屈な時間を持て余して
ダッシュボードから煙草を取り出す
寡黙にハンドルを握っていた男が
軽い舌打ちとともに素早く窓を開ける
あまりにも冷たい あうんの呼吸
背筋が身震いするのは
外気に触れたせいだけではなく
大粒の雪
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