蟹/
たもつ
階段には鍵が掛かっていた
鍵を持っている人はみな
蟹のような格好をして降りて行ったが
昨夜食べた蟹は形も違うし
赤く茹で上がって
あんなに嬉しそうではなかった
降りられない階段を見ていると
私には私の距離があるとわかる
もう、遠さ、という単位で
何も測れなかった
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