即興曲 変ホ長調D/アマル・シャタカ
 
その美しい横顔も
輝くような肉体も 一つずつはぎ落されて
衰えるという一言で 君の心は揺れ動く

ピアノの鍵盤を見て 白と黒
世の有様は裏と表で

裏だけでも 表だけでも世界はない
鍵盤の白と黒を弾く指先で 世界に音色を贈るように

視力が衰えれば それは不便だ
しかし 見なくて良いものを見なくてすむようになる
僕がそうなら 君の声だけを誰よりも 美しく耳で捉えられるだろう

視力を失っても美しい音色を失わなぬ奏者は多い 
鍵盤の色など そこではもはや意味を持たず それと同じで

耳や声 容姿を失いながら人は絶望の淵に身を沈める
残された魂が 輝きを増すために
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