ささくれ/捨て彦
に触れる短い髪と
君の遠くを見つめる透きとおった目線の
そういったそれらのすべてが
まったくもって脈絡のない
単なる偶然だけで成り立っていたとしたら
成り立っていたとしたら
それだけでおれはとてもとても嬉しいと
嬉しいと
吐きそうになりながら剥き出しになった心臓を
なにか鋭い爪のようなもので引っかきつづけるせいかつ
ささくれた日々
そうやって暮らしたいのだ、
(くらいん、)
まばたきが多くなる瞬間にそれはとても綺麗で
そうやって暮らしたいのだ、
(くらいん、)
まばたきのスピードの白と黒の往来に
いずとでぃすの意味もわからないままに
やさしいけものが
戎橋の上で大粒の涙を流している
それを横目に通り過ぎるおれたちは
また知らないあいだに
体を爪で引っかいて、
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