ささくれ/捨て彦
 
しずかに








例えば
おれの煮え切らない気持ちが
数行の文字の羅列に書き直されたとして

君の咽元が
わずかに空気を震わせたとして

あるいは指先に触れる短い髪や
君の遠くを見つめる目の
そういったそれらのすべてが
なんの脈絡もない
単なる偶然だけで成り立っていたとしたら
成り立っていたとしたら
おれはとても嬉しい








例えばおれの
煮え切らない情けないこのざわざわした気持ちが
数行の文字の羅列に書き直されたとして

例えば君の咽元が
まだかすかに空気を生暖かく震わせていたとして

あるいは指先に触
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